ショパン作曲【ノクターンOp9-2】ピアノ発表会演奏難易度15
ピアノ発表会難易度別曲紹介
弾けばわかるピアノ職人の匠の技
演奏難易度⑮
ショパン作曲
ノクターンOp9-2
繊細なピアノの響き
美しく印象的なメロディー
繊細な和声の移り変わり
全ピアニストが一度は弾くべき作曲家です
ショパンは何がすごいの?
ただのポエマーではないのです
誰もが一度は耳にしたことのある
エチュード、ワルツ、ノクターンなどなど
「ピアノの詩人」
という愛称から
少女のようなポエムを書く作曲家だと
勘違いしている人もいるようです
過去にレッスンに来ていた男子中学生は
「ポエムおじさんの曲だから弾きたくない」
と言ってましたけど…
そこまで極端でなくても
感傷的でわかりやすく美しいだけの曲だと
勘違いされているのかも
有名すぎるということでしょうか
もちろん
断じて
そんなことありません
曲が美しく、ロマンチックなだけで
100年以上も愛され続けるわけがないですから
ショパンの
最も優れた点は
「ピアノという楽器を知り尽くしていたところ」
新しいのピアノ技法を数多く考え出し
それらが独特の効果を生み出しました
独創性です
例えば
「ショパンのトリル」
ショパン以前は
単純に音が揺れているのがトリルでしたが
ショパンは
装飾音
音色の変化
などを組み合わせることで、
トリルそのものに
豊かな音楽性をもたせ
表現の幅を広げました。
他にも
オクターブ奏法
アルペジオ奏法
によって
ピアノが広い範囲で響きます
ロマンチストというよりリアリスト
こんなに新しい試みが出来たのは
ショパンが
ピアニストとして優れていたことと
ピアノという楽器が
19世紀初頭から半ばにかけて
技術的に大きく進歩していたからです
鍵盤がより軽いタッチになったり
音域が広くなったり
ぺダルが進化したり
音楽が繊細で美しいので
感情的な人物のようですが
私が感じるショパンの人物像は
自分を
「客観的に観察できる人」
自分の感情や価値観を冷静に観察し
感情に振り回されずに
音楽に落とし込むことが出来たのではないかと
表現の精度をあげるために
演奏技術を高め
練習法を考え
人間の手についての理解も深め、
ピアノの機構や機能を研究して
音響を計算して
曲を書いたのではないかと思います
弾いたことがある人なら
同意してもらえると思うのですが
ショパンを弾くと本当に気持ちよく
ピアノが鳴る気がします
ピアノ全体が響くように
曲が作られていると思うのです
音楽が音楽だけで美しいのではなく
ピアノという楽器があってこそのショパンです
だから
「ピアノの詩人」
という愛称で強調すべきは
「ピアノの」という部分なのです
ショパン先生の教え
「テンポと拍子は音楽の魂だ」
というのはショパンの言葉
教育活動も積極的に行っていて
数々の言葉を残しています
音の美しさを重視するのは想像できますが
テンポと拍について
かなり厳しく指導していたようです
柔らかい音楽を
厳格な土台の上に載せるのが
大切だということですね
人間の手についての理解も
独自の見解を持っていて
それまで常識とされていた
「すべての指が同じ強さで音をだせること」
が最重要なのではなく
「5本の指は長さも力も違うのだから、それを上手く使って演奏することを考えるべきだ」
という考え方をしました
ですから初級者は長い指3本が黒鍵にのったポジションで
弾ける曲から練習すべきだと
ノクターンってどういう意味?
ノクターンNocturneはフランス語です
夜想曲なんて訳し方をされますね
この言葉はラテン語の
noxが形容詞形で
「夜の、夜に関する」
という直訳になります
ショパンの
「ノクターン9-2」
が有名ですが、
この曲に対する標題ではなく
夜の静寂や幻想的な様子
感傷を音楽で表現したジャンルです
19世紀ロマン派の作曲家たちが数多く作曲していて
アイルランドの作曲家フィールドが確立し
ショパンは生涯通じて20曲以上作曲しています
ノクターンを1番から追っていくことで
ショパンが作曲家として
成長していく過程が
わかると言われています。
この作品はショパンが若い頃の作品
フィールドの影響を結構多く受けている印象がします
興味のある方は一度フィールドのノクターンを聞いてみてくださいね。
ショパン以降だとフォーレのノクターンが有名です。