リヒナー作曲【わすれな草】ピアノ演奏難易度⑥

ピアノ演奏難易度別曲紹介

感傷的なメロディーは直球で心に響くのです

ピアノ演奏難易度⑥

勿忘草

悲しく美しい物語

ドナウ川の岸辺に咲く花を、恋人ベルタのために摘もうと岸を降りた騎士ルドルフ。

不幸なことに誤って川の流れに飲まれてしまいます。

最後の力を尽くして花を岸に投げ、「僕を忘れないで」という言葉を残して死んでしまいました。

残されたベルタはルドルフの墓にその花を供え、彼の最期の言葉を花の名にしたそうです。

勿忘草、「forget me not」は、 このような伝説から今も世界各地で同じ名前で呼ばれているそうです。

この伝説と同じ題名のこの曲。

悲しい物語なのですが、淡々と流れるメロディーは下降系で始まり、伴奏は終始八分音符で伴奏に徹します。

激しい悲しみというより、静かな悲しみです。

次にあらわれるメロディーは情熱的。

さらに中間部は急に明るくなります。

過去の楽しい思い出を思い出しているのでしょうか。

こんな風に物語をそのまま曲で表現するのも、サロン風の小品ならでは。

日本人と短調

この曲は短調です。

長調は明るく楽しい感じ。

短調は暗く悲しい感じ。

感覚的なことなので、なぜといわれると説明が難しいのですけれども。

この曲は二短調で書かれていて、それによってセンチメンタルな旋律がより際立っています。

日本人は短調が好きだという説があります。

国歌が短調なのも偶然ではないかも。

演歌、歌謡曲、そして雅楽も有名な曲は短調が多いですね。

ただし調性を長調と短調に分けて考えるのは西洋的な考え方なのです。

日本では固有のペンタトニックスケールという5音音階があります。

それを使うと「短調っぽく」聴こえるというのが正しいのかな。

そんなことを考えつつこの曲を聴くと、大正ロマン風のセンチメンタルな気分が感じられるから音楽は不思議です。

この曲が好きな人へのお勧め

亡き王女のためのパヴァーヌ(ラヴェル)
菩提樹(シューベルト)
アルハンブラ宮殿の思い出(タレガ)
私のお父さん(プッチーニ)勿忘草