ブルクミュラー作曲25の練習曲より【アヴェ・マリア】ピアノ演奏難易度⑦

ピアノ発表会難易度別曲紹介

豊かな音の重なりを味わいましょう

受胎告知

演奏難易度⑦

ブルクミュラー作曲

アヴェ・マリア

 

重なる音の響き

響きの中に浮かぶメロディー

 

繊細な水彩画のような音楽です

 

和音の響きを味わうのが好きな人に

ぜひ弾いてほしい曲です

 

「ブルクミュラー」は本の名前ではありませんよ

あまりにも有名な教本なので

テキストの名前だと勘違いされがちですが

「ブルクミュラー」は教本の名前ではなく

人物名です。

しかも兄弟そろって作曲家

父も音楽家です

 

有名な

「25の練習曲」

を書いたのは

兄のフリードリヒですが、

ここだけの話

実は弟のノルベルトの方が

才能があったのだとか

けれども残念ながら

20代で亡くなってしまったそう。

 

メンデルスゾーン作曲

「葬送行進曲 Op.103」は

ノルベルトの死を悼んで書かれたと言われています。

 

日本では兄が作曲した練習曲集が

広く普及しているので

ブルクミュラーといえば

兄フリードリヒを指しますけどね

 

「ブルクミュラー練習曲」は

ドイツロマン派ど真ん中の

時代を感じるのにぴったり。

 

豊かな和音と

表現力の高い旋律の曲満載で

しかも

ブルクミュラーは

パリで生活していた時期もあるため

感傷的、詩的な表現が

時折顔をのぞかせるのが素敵です。

 

元々

練習曲なので

教育的なうえに

一曲一曲魅力的でメロディアス

ですから

ベートーベン、ブラームスなどから

ショパンまで

色々な曲を弾くための技術を

音楽的に

身に付けられる

優れた教材だと思います。

 

おまけがあって

一曲づつ題がついているのですが

それが古風で時には分かりにくいため

解説が必要になところ

でもそれがかえって

考えるきっかけになって

私は気に入っています

 

ピアノを弾くときに

ただ音符を追うのではなく

曲の意味、時代背景を知るのは

とても大切なことですから

 

そういった意味で

(少し古臭い?と感じる人もいるかもしれませんが)

曲の題名ひとつひとつ

意味を考えながら

弾くことができるのも

意義のあることです。

 

ハーモニーを楽しむために

「アヴェ・マリア」は

ゆったりとしたテンポの曲で

和音の連続の中に

メロディーが織り込まれる構造になっています。

 

和音を弾くには

同時に3~4つの音を弾くのですが

同じ強さにならないように

右手左手の各指によって

弾く強さを変えて弾きます。

 

メロディーにあたる部分が、

他の和音の上に浮かび上がるように

弾くのです

そしてすべての音が重くならないように

けれども軽々しくなく

コントロールします。

 

ピアノ曲というより

教会の

オルガンで弾いているイメージで

音と音が途切れないように

指やペダルで調整します。

 

曲の冒頭の発想記号

Religiosoレリジオーソ

は宗教的に

という意味。

静かに、厳粛に弾きます。

 

「マリアよ おめでとう!」

アヴェ・マリアは

ラテン語で

「マリアよ おめでとう」

という意味

レオナルドダヴィンチの

「受胎告知」

の絵画に描かれている場面で

神の子キリストを身ごもったことを

マリアに知らせに来た

大天使ガブリエルの言葉です。

 

この言葉に続く歌詞は

カトリック教会で最も有名な祈りのひとつです

 

シューベルト

グノー

カッチーニ

メンデルスゾーン

サンサーンス

マスカーニ

など数多くの作曲家が

「アヴェ・マリア」

を作曲していますが

ほとんどの曲が同じラテン語の歌詞です

 

歌詞の訳は以下

 

おめでとうマリア

恵みに満ちた方

主はあなたとともにおられます

あなたは女のうちで祝福され

ご胎内の御子イエスも祝福されています

神の母マリア

わたしたち罪びとのために

今も死を迎える時も

お祈りください

アーメン

 

というものです。

キリスト教カトリックの

新約聖書

「ルカによる福音」

からの抜粋なのですが

カトリック教会に関係する人なら

必ず暗唱できる祈りのひとつです。

 

私もカトリックの学校に通っていたので

入学して最初にだされた宿題が

この「マリア様の祈り」と「主の祈り」

の暗唱でした。

それはもう、毎日毎日唱えましたので

多分認知症を発症しても

暗唱する自信があります。

 

恐らくキリスト教を信仰する国の人たちにとっては

「いただきます」「ごちそうさま」

と同じくらい身近な言葉なので

多くの作曲家が作曲しているのも

自然なことだと思います。

 

ちなみに

この曲の最後の和音進行は

「アーメン終止」

といいます。

 

ひとつ疑問に思うのは

有名なグノーのアヴェ・マリアは

バッハ作曲の平均律クラヴィーア曲集の前奏曲 第1番に

グノーがメロティーをつけたものです。

 

とても美しい曲なのですが

バッハは

プロテスタント教会で音楽監督の職についていたのですが

その辺のことは大丈夫だったのかな…

バッハについては

「メヌエット」の記事で色々書いていますので

良かったらどうぞ

 

聖母マリアを信仰するのはカトリックで

プロテスタントでは

聖母マリア信仰はないと思うのですが…

 

また分かったら記事にあげます