【小人のおどり】ディアベリ作曲 ピアノ発表会曲レベル別曲紹介 レベル② 

ピアノ発表会曲レベル別曲紹介【小人のおどり】ディアベリ作曲

ちょっと怖い ちょっと会ってみたい

小人たち

ディアベリ作曲

こびとのおどり

 

作曲家が全員破天荒なわけではない

作曲者のアントン・ディアベリは

ザルツブルグ生まれのオーストリア人です

ピアノ発表会に

必ず一曲はエントリーされている気が…

小人も毎回エントリーしているかも

 

ディアベリの作風は

曲調がシンプルで分かりやすいので

初心者からトライ出来る曲が多いのが特徴

 

なんというか

敵をつくらない音楽、

実用的な音楽

という感じ

 

芸術家特有の独りよがり・・・に近い

技巧的なことや

感情を劇的に表現することなどあまりせず、

分かりやすく親しみやすい

シンプルで明瞭な構造ということ

 

たぶんそれはディアベリが

作曲者、音楽教育者という顔とは別に

出版社の経営者であったことも

影響しているのだと思います

 

自分の好みではなく

お客様が求めるものを提供したい

というサービス精神かな

 

小人ってなんだ

近頃ではUMAというのでしょうか

妖怪、妖精、モンスター、おばけ、幽霊、天使…神様?

人類は沢山の物語を創造してきました。

古代ギリシャ神話からハリウッド映画まで

 

その中で不動の人気なのは「小人」でしょう

小さな身体に大きな力を秘めた彼らは

私達の想像力を刺激し続けています

 

 クラシック音楽の中の小人

「こびとのおどり」

はそんな中の典型的な曲です

子どものために作られた曲の大半は

明るく、可愛らしい、愛らしい曲調ですが

この曲は

妖しい雰囲気の「ズンチャ、ズンチャ」という伴奏

半音が多用されたメロディー

ちょっと変わったアクセント

短調で構成

など

全体的になんとなく不思議な雰囲気です

 

全てとはいいませんが

クラシック音楽で小人といえばこの雰囲気が多いかも

ちょっと怪しい、でも魅力的な雰囲気

子どもは大人が考えるよりそういった雰囲気に惹かれるのかな

こういう妖しい雰囲気の曲、子ども達に人気がありますから

 

クラシック音楽にでてくる小人は

例えば

ムソルグスキー作曲展覧会の絵の「グノーム」とか

リトルモーツアルトではおなじみの

グリーグ作曲ペールギュントの「山の魔王の宮殿にて

など

どこか不気味で予測不可能な

でも遠い存在ではなく

すぐ近くにいるような

そんな親しみやすさと異質さが表現されています

 

小説、物語の中の小人

グリム童話の「小人の靴屋」は

人間を助ける素敵な小人たちですよね

あれ?でもグリム童話だから

もしかして怖いオチがありましたっけ?

子供用の物語しか知らないので…

 

親指姫

一寸法師

ガリバー旅行記の小人の国

白雪姫

などなど、挙げるとキリがないくらい

小人は物語で大活躍

上にあげた小人たちは善良な感じですけど

 

指輪物語のホビットや

ハリーポッターのゴブリンなんかは

やっぱりちょっと不気味な感じです

 

小人の役目

最新の映像技術を駆使した映画を見ていると

「小人ってこんな生き物なんだ~」と

もはや想像上ということを忘れてしまうくらいリアル

 

その昔、人の力では制御できない自然や未知の力への怖さから

神様と一緒に小人も登場したのでしょう

人の力の限界を超えた存在への願望をかなえるために

 

科学技術の発展で沢山のことを克服してきた人間ですが

やっぱり現代でもこの構図は同じで

神秘的な山や海の代わりに

宇宙というもっと大きな未知の領域があって

「宇宙人」という存在も登場しています

 

結局人間が本能的に感じている

人間の有限性とか

それを超えてみたいという憧れとか

それが小人を創り出すんでしょうね

 

「小人のおどり」の

「ズンチャズンチャ」という小人たちのステップを聴きながら

そんなことを考えてみると楽しいかもしれません