「ピアノは何歳から始めるべき?」答えは「いつまで続けられる?」とセット(その2)
「ピアノは何歳から始めるといいでしょうか?」
3歳が理想。ただし条件があります
「ピアノのレッスンは何歳に始めるのがよいでしょうか?
というご質問に対していつも
「3~4歳にリズムや聴音を始めて
5~6歳で個人レッスンに移行が理想的。」
と答えています。
発育過程を考えると
常識的な回答だと思います。
けれどもこの問いは
「いつまでレッスンに通うことが出来るのか」
「どの位のレベルをめざすのか」
ということとセットで考えた方がよい
という話です。
「どのレベルを目指すのか」
の基準として
音楽教室ぴあぴあでは
「生涯を通じてピアノを趣味で楽しく弾いていけるレベル」
をひとつの目安としています。
保護者のお考えを伺って
それ以上を目指す可能性があれば
違う回答をします。
これからお話するのは
「生涯を通じてピアノを趣味で楽しく弾いていけるレベル」
でのことです。
レッスンに通う間は誰でも
ピアノを弾くのですが
生涯ピアノを楽しむためには
私の助けがなくても
弾きたい曲を
弾けるようになっている
必要があります
「いつまでレッスンに通えば一人でピアノを続けられるレベルになるのか?」
という目安をいくつかの曲を例に前回お話しました。
そして、
レッスン歴10年くらい
という目標をあげました。
約10年
きちんと練習して
レッスンに通っていれば
最低限のものは
身につきます。
「きちんとレッスンに通う」について
もう少し詳しく
「きちんとレッスンに通う」
について
ここが大切な部分です。
ピアノの上達には
自宅での練習が必要です。
「きちんとレッスンに通う」
には、
自宅での練習を含みます。
レッスンで先生の注意を理解できても
理解しただけでは
身についたとはいえません。
理解して一定時間練習して
はじめて身につくのです。
そして
練習してきたものを
レッスンで先生に見せて
さらに修正を加える
練習、修正を繰り返して
曲が完成する
それがレッスンです。
出来るようになるまで
譜読みは一緒にしますし、
練習方法はきちんと教えます
けれども
一緒に毎日練習するのは無理です。
レッスンは学ぶ時間
練習するのは自宅です。
レッスンに来るだけでは
いくら一生懸命集中していたとしても
半分しか効果がでません。
面倒ですが
それが楽器を習うということなので
仕方ないです。
練習時間は日常のルーティーンに組み込みましょう
今の子供たちは忙しいです。
小学校のカリキュラムも増えていますし、
アート系
スポーツ系
勉強系
に加え
パソコン系
など多種多様なおけいこがあります。
子供たちの適性や可能性を試したいという
保護者の意図は理解できますし
子ども達も
楽しそうに通っていると思います。
学校が終わると
毎日お稽古事が入っている子供も
少なくありません。
子供にとって
幸せなことなのでしょう
けれども
必然的に
自宅で過ごす時間が少なくなるのは
避けられません。
ピアノは自宅での練習が不可欠ですから
これはピアノにとってはけっこう辛い。
特に
中学受験をする子供の場合
3年生の2月から
塾では4年生扱いになるため
多くの塾では週2回の通塾が必要です。
学年が上がると比例して
通塾の日数と宿題が増えます。
そして
5年生(4年生2月)で
お稽古の整理を考えるご家庭が
多いように思います。
以前お話した通り
ピアノの上達は
「個人の資質×練習時間」
で決まりますから
練習時間がとれないと
ゴールへの道が遠くなります。
いくら才能があっても
頭が良くても
ピアノが大好きでも
練習時間がとれなければ
上達もそれなり…
と言わざるを得ないです。
ですから
ピアノのレッスンに通える期間が短い場合は特に
それ以外の子供に比べて
練習時間を多くとる必要があります。
子どもの「やる気」にたよらない。タイミングを間違えない。
そこで2つのことを保護者の皆さんに
気に留めていただければと
思います。
ひとつめは
子どもの「やる気」に頼らないこと。
毎日の練習は面倒ですし
弾けないものを弾けるようにするのは
エネルギーが必要です
子ども達は
「もうやめたい」
というでしょうし
「この子には才能ないのかしら?」
と保護者も
思われるかもしれません。
けれども
保護者が子供と一緒になって
「やる気スイッチ」
を探さないでください。
「最近子どもにやる気が感じられない」
ということを理由に
練習を休まないでください。
練習は
「やる気」
があるからやるのではありません。
「当たり前」
にやるものです。
やる気がある時は思う存分
長時間練習したらいいです。
やる気がないときは
ルーティーンの練習を
淡々とやるのです。
常にやる気に満ちた子供はいません。
そして
子どもには
残念ながら
目の前の苦労しか見えていません。
「やる気」
が起きないことを
練習しない理由にしないでください
悪循環しか見えません。
ふたつ目は
「やめる、やめない」
の話になったら必ず
「今辞めたら、この子は来年もピアノを弾いているだろうか」
と考えてみてください。
もしも一時の感情
「やる気」
が起きないだけで
やめると言っているのなら
考える余地はあると思います。
もしも
音楽が本当に楽しくないとか
ピアノが嫌い又は苦痛
になったというのなら
それは無理強いすべきでは
ないでしょう。
いずれはレッスンに通わなく日がくると思います。
それが「今」なのか
そこは保護者の冷静な見極めが必要です。
3歳で始めれば十分時間があるわけでもない
3歳はレッスンを始めるには
ちょうどいい年齢です。
けでども
上達は練習時間に比例します。
「個人の資質+練習時間」
ではないのです。
「個人の資質×練習時間」
です。
つまり、3歳で始めなくても
練習さえきちんとすれば
いくらでも上手になります。
天才ピアニストと呼ばれる人は
例外なく練習時間が長いです。
練習しないで
ピアノが上手になる人はいません。
そして子供たちの時間は有限です。
ですから
今、2歳3歳の子供たちでも
将来
中学受験または
スポーツ系の習い事で
選手コースに行く可能性があるなど
ガッツリ取り組む可能性があるのなら
なるべく早い時期から
自宅での練習時間を
習慣として行うよう
心掛けてください。
3歳から始めて
10年続けると13歳
中学1年生です。
何度もいいますが、
中学受験がなく、
自宅での練習時間がとれるなら
多分大丈夫です。
中学生になっった時点で
勉強や部活に追われて
レッスンにあまり通えなくなったとしても
大丈夫。
その子どもは
一人でピアノを続ける
最低限のものは
身についています。
ここからは自由です。
引き続き
一生懸命レッスンに通うもよし
時々来るのもよし、
たとえ辞めてしまっても
大丈夫でしょう。
自立してピアノを続けていけます。
けれども
もしそうでないのなら
自宅で練習を少し頑張って
自立できるようになるまでの期間を
短縮することを
保護者が心掛けてください
始めるのに3歳がよいというのは
そういう話です
決して3歳から始めれば
13歳になれば余裕で
ノクターンが弾けますよ
ということはありません。
例えば開始年齢を少し早めて
2歳で始めれば
小学6年生で
「ノクターン」
が弾けるわけでもありません。
関係あるのは年齢より
練習時間です。
私もしつこいですね…
さらに言えることは
幼児期から小学校低学年の
すこしでも時間や気持ちに
余裕のある時期に
「練習の貯金」
をしておくのがおすすめです。
小さいうちに練習を習慣にしてしまうと
本当に楽です。
これは金銭的な
「教育への投資」
についての話で言われることですが
「教育への投資効果」は
子どもの年齢が
低い方が高い
といわれています
これは時間にも同じことがあてはまると思います。
幼児期の10分間の練習時間は
3年後の30分の練習時間に値するし
10年後の1時間に値するのではないかと思います。
結論として
「ピアノは3歳で始めるのが良いでしょう。」
ただし、
3歳で始めて
きちんと練習して
13歳まで続けるのが望ましいです。
そうすれば
生涯ピアノを楽しく弾くことができ
人生に彩を与えてくれると思います。
3歳で始めて
11歳でレッスンを辞めるのであれば
自宅での練習時間を
極力とるようにしましょう。
3歳で始めて
自宅での練習をしないで通うのであれば
もう少し長い期間が必要です。
もし発達の早い子供なら
早くレッスンをスタートするのも
悪くないと思います。
字が読めなくても、
集中力が少ししか続かなくても
とにかく早く始めていれば
その子にとって
ベストなタイミングがいつなのか
レッスンしながら
調整することが出来ます。
お兄ちゃんやお姉ちゃんのレッスンを
見学していた妹や弟は
レッスンの進みが早いのは
そういう理由があるのかもしれないです。
多分、レッスンを始めていなければ
そのタイミングは分からないと思います。
それから
生活習慣を身に付ける段階で
ピアノの練習も一緒に身に付けてしまえば
後が楽です。
とても大変なことでしょうか?
もう面倒になりましたか?
たった10年間の少しの習慣で
何十年も先まで楽しめる技能が手に入ると思うと
お得な気がするのですけど
どうでしょうか。
ガミガミうるさく言って
練習させろということではありません。
少なくとも
保護者の皆さんがこれらことを
気に留めているといないでは
将来、大きな差が生まれると思います。
将来きっと
「練習はめんどうだったけど、続けてよかった」
という言葉が聴けると思います。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません